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パソコンの記録メディアの歩み



 個人向けコンピュータの記録メディアの歴史(歩み)について、ちょっと調べてみました。
もし間違いを発見された方は、管理人宛てに正しい情報を教えてください。


  • 最初の記録メディアは音楽用カセットテープだった!

     1972年ごろIBM社が業務用コンピュータ用の外部記録装置としてフロッピディスクを登場させましたが、一般向けではありませんでした。

    古くからパソコンを使っている方はご存知でしょうが、20年ほど前までは音楽用カセットテープがデータ記録メディアとして用いられていました。「カセットテープって、音楽用のカセットテープ!?」と驚く方もいるかもしれませんね。

     個人向けのコンピュータが「マイコン」と呼ばれていた頃。当時は周辺機器の性能も非常に少なく、個人が使えるデータ記録装置などというものはありませんでした。

     そこで目が付けられたのが、どこでも手軽に入手できるカセットテープ。パソコンのデジタルデータをアナログ信号(要するに音声)に変換することで、カセットテープをデータ記録メディアとして使うことを考えたわけです。
     FAX 通信のときの音声 「ピーヒョー・・・・」 というような表現しづらい音声信号としてカセットテープに録音(記録)していたのです。

    発売開始当時のカセットテープ
    しかし、アナログ信号で記録するので、劣化という問題をクリアすることはできません。テープが古くなったり延びて来たりすると、データの読みこみエラーを起こすことも珍しくありませんでした。また記録に時間がかかるということも、大きな問題でした。

     カセット式データレコーダの性能は、後期でも1200〜2700bps程度。今のモデムの1/20程度の速度でしかデータを記録できなかったのです。


  • いよいよフロッピディスクが個人向けに !?

     1972年『IBM3740 データ・エントリ システム』という仰々しい名前でのデビューでした。この名前を見てわかるように、最初のフロッピーディスクは IBM の業務用コンピュータ用の外部記録装置でした。
     IBMでは「ディスケット」と呼ばれて、大きさは8インチ(約20cm)で、大きめのなべ敷きくらいのサイズがありました。データはディスクの片面にしか記録できず、記録できる容量もたった 250KB 程度でした。

     1972年に 230KB だった 8インチフロッピーディスクの記憶容量は、1976年には 560KB 、翌年の1977年には 1.2MB へと大容量化。

     フロッピの形状も多様化していくことになりました。
     1976年には8インチより小型の5インチフロッピーディスクが実用化。その後 5インチのフロッピーディスクドライブを搭載した個人向けパソコンがいよいよ登場しました。
     5インチフロッピーは最初 100KB だった記憶容量は、320KB→640KB→1.2MB と大容量化していきます。

     現在主流となっている 3.5インチのフロッピーディスクは1980年に登場。こちらも 320KB を皮切りに、640KB/720KB そして 1.2MB/1.44MB へと記憶容量が変遷しています。

    FDの歩み

    FLOPY DISK
    現在使用されている 3.5 インチフロッピーディスク

    フロッピーディスク一つとってみても、かつては2.5インチや3インチのディスクを使用した製品もあったのです。しかしこれらの製品は市場での争いに敗れ、消えて行く運命にありました。


  • ハードディスクが個人ユーザー向けに!

     ハードディスクそのものは、業務用機種用に1957年に登場したが、かなり大きいサイズだったのです。
    その後 1963年 IBM 社がディスクを交換できる「ディスクパック」を発表。直径 14 インチ(約35cm)で記憶容量はわずか 3MB 程度だったそうです。

    日本で個人向け用機種でハードディスクが登場したのは、1985年のようです。その当時の記憶容量は 10MB 程度で 5kg 程度の重量、価格は25〜40万円でした。恐ろしいほど高いと思うことでしょう?
    まだこのころは、外付け周辺機器という感じでした。
    10MB 20MBのHDD → 
    価格 25万円(1985年) → 9万円程度(1990年)

    ハードディスクの小型・軽量化、低価格化、大容量化、読み書きの高速化が追求されてきました。
    1990年ノートパソコン用内臓ハードディスクが登場したが、価格は9万円程度、記憶容量は 40MB 程度。

    ハードディスク(個人向け用)の記憶量の変遷は、10MB(1985年) 、 40MB(1989年) 、 100MB(1991年) 、 500MB(1995年) 、 1GB(1996年) 、 8GB(1999年) 、 80GB(2001年) という具合に容量アップしてきた。
    現在の内臓ハードディスクは2万円程度の価格で入手でき、1985年当時から見ると価格は 1/15 程度、記憶容量は 8,000 倍以上。
    160GB HDD 
    ↑内臓型HDサンプル    ノートPC内臓用HDサンプル↑


  • CD-Rの登場!

    CD-Rが登場するまでの歴史を見てみよう。

    1980年、音楽用CDのフォーマットが決定し、1982年に発売開始。
    この音楽用CDのことをCD-DA(Compact Disc Disital Audio)といい、基本となる仕様を「レッドブック」と呼びます。レッドブックは、CD-DAに関するフォーマットやディスクの直径など、物理的な構造について規定しています。

    1985年、CD-DAの拡張としてパソコンに適用できるよう規格された仕様「イエローブック」ができ、そうしてできたCDをCD-ROM(CD-Read Only Memory)と呼びます。
    イエローブックはレッドブックをベースにして、コンピュータ向けとしてエラー訂正機能や、マルチメディア対応向けに音・映像同期機能の追加がされています。

    こうして急激に普及しはじめたCD-DA、CD-ROMでしたが、ともに再生専用の機能しか備わっていませんでした。そこで、記録ができなおかつ安価なものを、とのニーズから記録可能なCD、すなわちCD-R(CD-Recordable)が登場したのです。この仕様を「オレンジブック」と呼びます。

    なお、レッドブック、イエローブック、オレンジブックの名前は、仕様書の表紙の色から呼ばれるようになったのです。

    CD


  • MO(光磁気)ディスクの登場!

     MOディスクは、1988年に発表されました。

    3.5インチMOドライブは、1992年に128MBの容量に対応した製品が市場に投入されました。この後、1994年には 230MB 対応製品、1995年には 640MB 対応製品、1999年には 1.3GB 対応製品 (GIGAMO) が発表されてきました。

    MO ディスクはフロッピディスクのように書き込みが簡単にできます。つまり書き込みソフトが不要です。

    光磁気ディスクでは,光ビームスポットにより温度を上げることで,その部分の磁化の向きをかわりやすくして記録しています。光磁気ディスクのデータを消すにはなんと磁気商品(磁気ネックレスなど)の磁気の10倍もの強さの磁石が必要です。ですから、磁気によってデータが消えてしまうことはほとんどありません。
    MO DISK



  • ZIP ドライブの登場!

    Iomega 社が開発した、磁気ディスクを媒体とする記憶装置。1995年3月(日本では5月)に発売された。
    1枚当たりの容量は 100MB と大きいが、フロッピーディスクなど他の記憶媒体との互換性はない。ドライブの平均シークタイムは 29ms、データ転送速度は 1.25MB/s である。

    ドライブが低価格なこともあり、アメリカを中心に普及している。
    パソコンとの接続には SCSI や IDE(EIDE) のほか、パラレルポートが使えるドライブもあるのが特徴的。Compaq Computer 社や Hewlett Packard 社、日本 IBM、Apple 社などが Zipドライブを内蔵したパソコンを販売している。
    1998年には容量 250MB の上位互換製品も発売され、2003年現在では 750MB の製品も販売されています。

    ZIP DRIVE


  • DVD の登場!

    Pioneer (パイオニア)社は DVD = 次世代 LD ということで、高画質で映画を 2 時間以上記録するというターゲットのもとに開発を 1991 年より進めていた。1994 年には、680nm のレーザを使用した 1.2mm 基板で片面2.1GB の MPEG-1 のシステムである、αカラオケシステムを業務用として市場導入した。
    一方 1994 年の時点では、DVD 用として SHG ブルーレーザを用いたシステムを開発していた。多チャンネル衛星放送の普及を前に DVD 導入をというハリウッドの要望に答えるべく、1994 年末には、赤色レーザを用いた SD 規格導入に踏み切った。
    一方、ソニー.フィリップスは同時期に MMCD 規格を提唱した。この SD 規格と MMCD 規格の大きな違いは、0.6mm の厚さの基板を2枚貼り合わせわせた形で、大容量化を図るのか、CDの延長線上で 1.2mm の厚さの基板を使用するのかにあった。
    1995 年末には、SD 方式の基板 2 枚貼り合わせ方式と MMCD 方式の 8/16 変調をあわせる形で最終的な合意に達した。そして、DVD コンソーシアムが作られ DVD がスタートした。1996年8月には、DVD ビデオブックが発行され、同年 11 月には DVD ビデオプレーヤが発売された。
    1997年には、追記型 3.95GB の DVD−R ブックと 2.6GB 書き換え形ディスクの DVD−RAM ブックが発行された。1999 年には、書換え型の 4.7GB の規格である DVD−RW ブックと DVD−RAM ブックが発行された。2000年には 4.7GB の DVD−R の規格も導入された。
    アプリケーションにおいても、DVD オーディオ規格が 1999 年に、同じく1999 年に DVD ビデオ記録規格が導入され、高音質でマルチチャネルオーディオが楽しめる DVD オーディオプレーヤや、ビデオ記録再生用の DVD ビデオレコーダが市場に投入されている。

    DVD DVD-RAM
    DVD ディスク(左)と、DVD-RAM (右)

    ====== DVD の誕生のいきさつ ======
    DVD(Digital Versatile Disk)は、CD に替わる光ディスク規格として登場したもので、CD と比べてより高密度な情報を記録できる。90年代後半に、高品位 TV の登場など、よりクオリティの高い動画再生が求められるようになり、650MB の CD-ROM では、これらのコンテンツを再生するには限界が見え始めてきた。また、パソコンの世界でもマルチメディア化の波が押し寄せ、CD-ROM の容量の壁が見え始めていた。こうして生まれたのが DVD である。


  • 小型メモリーカードの登場!

    フラッシュメモリーという半導体を記録メディアとして利用するメディアの登場。半導体に電子的にアクセスし読み書きするメディアで、小型で軽量なのが特徴。

    ◆ SmartMedia (スマートメディア)

     東芝によって提唱され、各社が採用するようになったメモリカードの規格。規格が登場した当初は「 SSFDC(Solid State Floppy Disc Card)」と呼ばれていた( 1996年10月からスマートメディアの呼称に変更)。東芝、富士写真フィルム、東京エレクトロン、オリンパス光学工業、セガ・エンタープライゼスを幹事会社とする SSFDC フォーラム( 1996年6月現在で、43社が参加)により、詳細な規格が定められている。非常に薄く、軽い(約 2g )ため「切手サイズのメモリカード」などとも呼ばれる場合もある。

     カード内部にフラッシュメモリチップを数個内蔵し、カードの片面に装備された平面電極端子(22ピンに相当)によって、各種機器とデータのやり取りを行なう。カードにはコントローラが内蔵されていないために、ソケット側(のコントローラ)で、データの書き込み/読み込み制御が行なわれる。駆動電圧は、当初は 5V であったが、最近の容量 8Mbytes 以上のカードは、すべて 3.3V 駆動となっている。なお、5V のスマートメディアと、3.3V のスマートメディアは、カード外観の切り欠きの位置が異なり、電極端子のある面も逆になる。

     国内では、デジタルスチルカメラの映像記憶用の電子フィルムとしての利用が盛んで、現在は容量512K〜4Mbytes(5V)のカードと、8Mbytes(3.3V)のカードが製品化されている。16Mbytes('97年)、32Mbytes('98年)などのカードの出荷もされている。

    大きさ: 45mm X 37mm X 0.76mm


    ◆ Memory Stick (メモリースティック)

     1997年7月16日ソニーが、オリンパス、カシオ、三洋電気、シャープ、富士通と共同で開発中であることを発表したデジタルカメラ向けの小型メモリカードの規格。

     カードの端面に櫛状の凹凸をつけ、凹分に信号線を引いた。また信頼性の向上、容易な挿抜、製造コスト低減のために、データ転送をシリアル方式にして信号線の数を絞り、データ転送用に3本(データ、クロック、ステータス)、電源、グランド2本、予約3本の計10本にした。記録単位はデータアクセス速度の向上、ファイル管理の簡素化を目的に、8Kバイトと他方式に比べて大きくした。

     パソコンへのデータの取り込みは、ATAコントローラを内蔵した専用のPCカードアダプタを使用する。書込み防止機構として3.5インチフロッピーのようなスライドノッチを設けた。

    大きさ: 50mm X 21.5mm X 2.8mm


    ◆ CompactFlash (コンパクトフラッシュ)

     米SanDisk社が提唱し、独自開発した小型メモリカードの規格。カード内部に、フラッシュメモリチップとコントローラチップを搭載し、このコントローラチップでの処理により、PCなどからはATA準拠のストレージデバイスとして認識される。ちなみに、コントローラを内蔵しないメモリカードの場合は、フラッシュメモリへのデータの書き込み/読み込みを専用のソフトウェアが行なうことになる。なお、これらのソフトウェア(フラッシュメモリ制御ドライバ)は、Flash File System:FFS もしくは、Flash Transkation Layer:FTL と呼ばれる。さらに、内蔵コントローラが駆動電圧の昇圧/降圧を行なうため、内蔵フラッシュメモリチップの駆動電圧は 3.3V、5V のどちらでもよく、外部のソケットの駆動電圧も 3.3V/5V のどちらでもいい。

     ATAに準拠することによって、多くのOS(DOS、Windows、OS/2など)から標準的に扱うことができ、PCから扱える最大容量も膨大である(FATを用いる場合、理論的には2Gbytesまで)。しかし、コントローラチップを内蔵するため、フラッシュメモリチップの搭載スペースが減り、コンパクトフラッシュのメモリ容量は従来のメモリカードと比較して少な目であるとされている。また、コントローラチップ内蔵分だけコスト増にもつながっている。

    大きさ: 42.8mm X 36.4mm X 3.3mm

    ◆ SD メモリーカード

    '99年8月25日 発表。著作権保護対応次世代メモリーカード
     松下電器産業株式会社と、米SanDisk、株式会社東芝は、著作権保護に対応した次世代メモリカード「SDメモリーカード」の共同開発と企画化、普及までの包括的な相互協力で同意。

     SDメモリーカードは、24×32×2.1mm(幅×奥行き×高さ)の小型メモリカードで、誤消去を防止するプロテクトスイッチを備える。SDMI(デジタル音楽著作権保護協会)の規格に対応可能な著作権保護機能を持つ。なお、SDメモリーカード用スロットは、マルチメディアカード(MMC)も利用できるという。

     SDメモリーカードは、32/64MBを2000年第1四半期、256MB を2001年にサンプル出荷し、2000年第2四半期に量産を開始した。応用機器の発売は2000年上半期。書き換えスピードは当初 2MB/秒 だったが、2000年には 10MB/秒 になる。

    大きさ: 24mm X 32mm X 2.1mm


  • USB フラッシュメモリ の登場!

     1999年ごろ、USB 接続で記録ができる「 USB フラッシュメモリ 」が発売開始された。
     手のひらの中におさまる程度の小型サイズで軽量。しかも持ち運びが楽なのが特徴

     最初は 32MB の記憶容量しかなかったが、現在では ギガバイト の単位の記憶容量のもまで市販されている。またデータ漏えい対策を施した製品まで発売されてきている。

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